BUSINESS

Text:光田 さやか
Photo:小林 翔

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PROIFILE

阿南 元春
2022年2月、ASNOVAに入社。IR・広報業務を経験後、2025年4月に、グループインしたQool社のPMI(経営統合プロセス)[木村1.1]に携わり、組織や事業をつなぐ実務を担当。同時にシンガポールへ駐在し、新たな環境の中で事業推進に取り組んできた。現地での挑戦を重ねながら、事業の土台づくりに向き合い続け、2026年4月よりASNOVA Singaporeの代表に就任。海外の最前線から、さらなる事業拡大と価値創出に挑み続けている。
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グローバル企業への成長促進剤。ASNOVA Singaporeが実現する地域統括構想

近年、ASNOVAは海外事業の拡大を加速させています。その中枢として、将来的な地域統括機能を見据えて設立されたのがASNOVA Singaporeです。

シンガポール現地で約1年間、実務の管轄を行なってきた代表の阿南元春さんは、その位置づけを日本本社と海外子会社のギャップを埋める「ハブ」として、そして中長期的な企業価値を最大化するための組織設計思想であると話します。ASEANという複雑な市場でどのような未来を描こうとしているのか、現状と展望を紐解きます。

Text:光田 さやか
Photo:小林 翔

PROFILE

阿南 元春
2022年2月、ASNOVAに入社。IR・広報業務を経験後、2025年4月に、グループインしたQool社のPMI(経営統合プロセス)[木村1.1]に携わり、組織や事業をつなぐ実務を担当。同時にシンガポールへ駐在し、新たな環境の中で事業推進に取り組んできた。現地での挑戦を重ねながら、事業の土台づくりに向き合い続け、2026年4月よりASNOVA Singaporeの代表に就任。海外の最前線から、さらなる事業拡大と価値創出に挑み続けている。

本社と現地を結ぶ「ハブ」な存在。多面的な機能をもつアジアの拠点

Q. ASNOVA Singaporeはどのような会社ですか?日本本社との関係性や、設立された目的についてお聞かせください。

私たちASNOVAは、将来的にそれぞれの法人が自立して成長していく「自走型グローバル組織の集合体」を目指しています。その中でASNOVA Singaporeは、海外事業の中枢として売上・利益の拡大やガバナンスの強化を牽引する、いわば「海外拠点のハブ」として設立されました。

具体的な役割としては、日本本社と現地子会社の間における「戦略」と「実行」、そして「統制」の中間に位置する存在だと思っています。本社と子会社の間で生じがちな認識の齟齬や乖離を解消し、双方の思想や価値観を強制するのではなく、「共創・共有」するための組織です。

    

実務面では、J-SOX(日本の内部統制報告制度)対応を含む内部統制の水準向上といったガバナンス強化が求められています。それを実現するためには、制度設計のみではなく、組織への帰属感や従業員満足というような多面的な成果の積み上げも必要だと思っています。

また、これからグループインする会社に関しては、デューデリジェンス(M&Aや投資の際、買収側が対象企業の価値やリスクを詳細に調査するプロセス)から関与し、その後のM&Aに伴うPMI(M&A(企業の合併・買収)後の「経営統合プロセス」)の迅速かつ確実に推進していくことで、統合精度そのものも高められると思っています。

単に海外を管理するだけの組織ではなく、子会社への戦略支援や人材・組織整備のサポートを通じ、グループ全体のシナジーを顕在化させる多面的な機能を備えています。

Q. なぜ今、この拠点が必要なのでしょうか?約1年間、シンガポールでQool社の事業を統括してきた中で感じた、ASEAN市場との向き合い方や意思決定のあり方をお聞かせください。

ASEAN市場と一言で言っても、国や地域によって価値観や働き方は驚くほど多様であることを実感しています。特にシンガポールは、アジア各国、欧米など、多国籍な背景を持つ人々が集まっている国でもあります。

このような複雑な市場で、日本本社の考え方や文化を一方的に押し付けてしまうと、短期的には何とか機能したとしても、中長期的には組織の成長を大きく阻害する要因になります。だからこそ、現場に根ざした非常に繊細なコミュニケーションと意思決定が求められます。

    
Qool Enviro「F1 シンガポールGP 2025」にて仮設トイレのレンタル実施時

現場の従業員はどうしても日々の業務における局所的な変化に囚われがちで、本社の目指す思想や認識との間にギャップが生まれやすい傾向にあります。一方で、日本本社は全体を俯瞰しているものの、現場の生々しい課題が見えにくいといった側面もあります。

この両者の隙間を埋め、方向性を合致させるためにも、中間に立って調整する「地域統括拠点」の存在が今まさに重要だと考えています。

Q. 現地スタッフとのコミュニケーションにおいて、文化や風習、言語の壁を乗り越えるために心がけていることはありますか?

基本的なことではありますが、相手の思想・思考に向き合い、理解することを徹底しています。その上で、本社のやり方を押し付けないように細心の注意を払っています。

背景や文化が圧倒的に異なるメンバーをマネジメントする上で、私が根底に持っている思想は「彼らが求めているものを可能な限り与えること、そのための環境を整えること」ということです。彼らのモチベーションに個別に向き合ってみると、キャリアアップを望む人、報酬やポジションを求める人、資格取得や日本語を習得したい人、あるいは将来別のグループ会社に挑戦してみたい人など、その内容は千差万別です。そこに対してできるだけ個人の意思を尊重した関わり方ができればと思っています。

一方で、現場の肉体労働に携わるメンバーの多くは、家族のために稼ぐという明確なモチベーションを持っています。彼らに対しては、収入面でしっかりと報いることが最大の誠意になります。一人ひとりが気持ちよく働けるよう、相手の背景と思想を尊重した上で、彼らが望む自己実現と利益貢献を両立できる関係性を築いていくことが、エンゲージメントや帰属意識を高める上で最も大切だと考えています。

    

グループ全体最適の追求と、2030年に向けた中長期的な成長ビジョン

Q. 地域統括機能を構想する上で、本社との連携や、意思決定において大切にしたい「判断軸」は何ですか?

「部分最適ではなく、常にグループの全体最適を基準に判断すること」です。

現場でしか見えない問題が毎日のように起こる一方で、日本本社でしか見えないグループ全体としてのリスクや視点も存在します。私たちがどちらか一方の意見だけに耳を傾けてしまうと、社内外の信頼関係を崩すことになりかねません。

そのため、私たちは現場の子会社における実態や課題、そして従業員の認識をフラットに集約し、本社との定期報告でそれを事実として正しく本社に提供しています。またそれとは別に、戦略ミーティングをオンラインで密に重ねながら、目線合わせをしています。

たとえ部分的な視点で損失が出るような局面であっても、中長期的なASNOVAグループの成長につながるロードマップであれば、実行すべきだと考えています。そのために必要な判断材料を可能な限り集め、公平性と納得感のある全体最適の意思決定を支えることが、私たちの重要な判断軸です。

    

Q. ASNOVA Singaporeを通して、今後ASNOVAグループとしてどのような未来や持続的な成長を実現したいですか?、投資家や関心を持つ皆様へのメッセージをお願いします。

この会社は、大きく2つの側面で、ASNOVAの未来に貢献していきます。1つ目は、日本本社が「2030年のありたい姿」として掲げる「高収益のグローバルなレンタルビジネスのエクセレントカンパニー」に向けた成長ドライバーとしての役割です。直近では、本社が推進する「ROIC(投下資本利益率)経営」を現場レベルの行動指標にブレイクダウンし、実行へ移すプロセスに注力したいと考えています。盤石な基盤を構築するために、M&AやPMIの実効性を高め、ASEAN市場だけでなく、APAC(アジア太平洋)全体への事業展開を加速させていきます。

2つ目は、グループインした各社の従業員に対しては、ASNOVAの思想や方向性に共感してもらえるような状態を目指すことです。もともと現地の子会社には従業員の連帯感がありました。そこにASNOVAグループとしてのベクトルを共有し、エンゲージメントを高めることで、強固な収益基盤となる一体感ある自走型組織を作ります。

短期的な利益至上主義に偏るのではなく、事業活動そのものが社会の最適化につながる持続可能な体制を、海外市場でも証明していきます。この積み重ねが、国内のみならず海外投資家の方々からの評価向上、採用力強化、ひいてはASNOVAのブランディングにつながると確信しています。

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