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Text:光田 さやか
Photo:小林 翔

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田中 喜一郎
2021年6月、ASNOVA入社。2022年10月よりASNOVA VIETNAMのGeneral Directorを務める。
笠川 真代
2021年にASNOVAへ入社。経営企画室にて新規事業やマーケティング戦略などを中心に業務を行う。
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「ASNOVA VIETNAM」でWEB受発注システムをローンチ。導入までの道のりと展望

ASNOVAのベトナム現地法人が2022年10月に設立してから9ヶ月 。アジアの新興国の中でも急激な経済成長を遂げ、今なお進化し続ける国・ベトナムでも、ASNOVAの足場は活躍しています。
そんななか、現地法人設立と同時に進行していたプロジェクト。それが「WEB受発注システム」でした。
日本とベトナムでは文化も考え方も、デジタルリテラシーも異なるなかで、このプロジェクトをどのように進めていったのでしょうか?
今回は、現地での中心人物となったASNOVA VIETNAMのGeneral Director田中喜一郎さんと、日本でそれを支えた経営企画室の笠川真代さんにお話を伺いました。

Text:光田 さやか
Photo:小林 翔

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田中 喜一郎
2021年6月、ASNOVA入社。2022年10月よりASNOVA VIETNAMのGeneral Directorを務める。
笠川 真代
2021年にASNOVAへ入社。経営企画室にて新規事業やマーケティング戦略などを中心に業務を行う。

ベトナムを取り巻くDX化。「受け入れやすい」市場に価値を見出す

Q.ベトナムの2021年デジタル経済規模は210億円ドルにも達し、インドネシアとタイに続いて東南アジアで3位となるほど、急速にデジタル化が進んでいますね。田中さんは現地に長く滞在されているとのことですが、ベトナムでの生活の中でデジタル化を顕著に感じることはありましたか?

田中:私は2014年からベトナムでの仕事を始め、その後2021年12月にベトナムに赴任しました。これは日本でも同じかもしれませんが、やはりコロナをきっかけに、彼らの生活の中にデジタルが普及してきたと思います。
FacebookやTikTokなどのコミュニケーションツールもそうですし、ベトナムでは「Grab」というサービスが主流なので、それでタクシーを手配したり買い物をしたり、デリバリーをしたりと大いに活用していました。
ASNOVA VIETNAM:田中喜一郎
そういった急速なデジタル化を、現地の人々はすんなりと受け入れていました。その背景として、平均年齢の若さというのがあると思います。日本より約16〜17歳若い31歳くらいなので、新しいものをどんどん取り入れてきたデジタルネイチャー世代なんですよね。私の住んでいるホーチミンのような都市部でも、若者が活発にいろいろなデジタルサービスを取り入れています。

Q.ベトナムの人々の中には、すっかりデジタル化が根付いているのですね。では、日本の建設業界で見てみると、デジタル化はどうなのでしょうか?

笠川:日本の建設業界では、人材の不足やデジタル人材の育成不足によりまだまだデジタル化が遅れているのが現状です。しかし、当社がこれまで培ってきた足場レンタル事業に関するノウハウや経験、データの活用方法を日本国内だけでなくベトナムにも発信・導入していくことにより、ベトナムでの事業展開をより加速できると考えています。
さらに、ベトナムはIT人材が豊富でコロナ禍により停滞していた建設需要が再開していることからもデジタル化を推進していくことで可能性が広がるのではないかと感じています。
経営企画室:笠川真代

手探りで進めた「ベトナム版WEB受発注システム」

Q.では具体的に、ベトナムでの「WEB受発注システム」の導入はどのように進めていったのでしょうか?

田中:まず、ベトナムの現地法人をスタートさせる際に、受発注システムを含め、作業のDX化も推進させていくことを考慮していたんです。こちらでもろもろ現地法人のスタートアップをしていくうちに、日本で先行して「WEB受発注システム」の開発を進めているとのことだったので、ベトナムではそれを受けて水平展開していくのはどうだろうかと、笠川さんのいる経営企画室のメンバーから提案を受けていました。
そして、日本で完成  した後に「ベトナムでも同じシステムでできそうだ」というお話をいただいたので、本格的に進めていきました。
受発注に関して基本的な業務フローは日本と変わりませんので、それをベースにして、あとはベトナムで使いやすいようにいろいろと手を加えていきました。
笠川:日本版WEB受発注システムをベトナム版にどこまで踏襲できるのか、現地の受注から出庫までの流れと比較し、検証するところから始めました。現地では、「ベトナム版受発注システム」と同時進行で「ベトナム版基幹システム」の制作も進んでおりましたので、基幹システムの役割と照らし合わせて、どの部分をカスタマイズする必要があるのか等、何度か制作会社を含めたプロジェクトチームで擦り合わせを行いました。
とにかくユーザーフレンドリーにこだわっていましたので、日本版WEB受発注システムと同様に、「いつでも、どこでも、確実に」をキーワードにマニュアルなしで操作できる仕様になるよう心掛けました。
 
田中:私たちも「ベトナムではこうすればいい」「こうしなくてはならない」というビジネス経験もなかったですし、かなり手探り状態ではありました。システムに不具合が出たらまた戻ってやり直し、という流れを繰り返していたので……。
「日本だとこうだから、ベトナムでもこうやってみようか」と、日本の経営企画室とやりとりしながら進めていきました。
それで、実際にベトナムでのWEB受発注システムの運用開始したのが今年の3月  です。

ベトナムは「まずやってみよう」の国!足場レンタルをより身近に

Q.紆余曲折を経てスタートした「ベトナム版WEB受発注システム」ですが、現在はどのような反響がありますか?

田中:今はホームページからもWEB受発注できるページを設けています   が、とにかく、多くの方に使っていただいて、改善点を洗い出しているところですね。
使う人によっても、たとえば足場専門の業者さんにとっての使いやすさと、建設会社の購買担当者さんにとっての使いやすさとでは、求める要素も異なります。
たくさんのフィードバックをいただいて、まずはお客様を獲得しなくてはいけないなというところです。
笠川:日本でいうとLINE、韓国でいうとカカオトークのように、どこの国でもそれぞれよく利用されているコミュニケーションツールがありますよね。ベトナムだとZalo(ザロ)というチャットアプリがあるので、ベトナム版受発注システムの公式アカウントを連携しました。今はまず多くの人に使っていただくことだと思っています。
現地の人々のコミュニケーションに欠かせないツールと結び付けることによって企業とお客様間のコミュニケーションを活性化させていき、改良を重ねていくことが大切だと思っています。

Q.「WEB受発注システム」を通して、ベトナムの方々に足場をどのように利用してほしいですか?

田中:足場の利用でいうと、日本のほうがベトナムよりもはるかに成熟しているように思います。日本ではイベントでの利用や個人消費などで、すでに暮らしの中のいろいろな分野で足場が使われているので、ベトナムでもその文化を追いかけていけたらいいですね。
ベトナムにも小さい工務店はたくさんあるので、足場が必要な時はその都度そういうところで借りていることが多いようです。私たちのWEB受発注システムで、もっと簡単に、便利に借りられるということを浸透させていけたらと思います。
そういう意味では、若い人たちを中心にスマートフォンでなんでも情報をキャッチできるようになっていますので、こちらもSNSやウェブサイトでどんどんアプローチしていかなくてはならないですね。
 
ベトナムは、食堂でも建物でも、まずは簡単に仕事を始めてみよう、という国民性があります。「まずやってみよう」という精神で、簡単にお店を作ってしまうんですよね。
そういった彼らにとって足場レンタルのハードルは低いはずなので、彼らの役に立てるように、「WEB受発注システム」で足場をもっと身近に使ってもらえたらと思っています。

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