「視野を広げたい」「引き出しを増やしたい」前に進むため、今必要なこととは?
AMP!2022に参加しようと思ったきっかけを教えてください。
山川:私は事務員なのでずっと事務所で伝票を打っていることが多くて、外に出て他の会社の方とふれあったり、業務の中で新しい気づきを得たり、自分の価値観を変えるような機会がこれまでほとんどありませんでした。AMP!というプログラムがあるのは知っていたのですが、まさか事務員の私でも受けられるプログラムだとは思わなかったので、「参加してみたら?」とお話を頂いたときには二つ返事で参加を決めました。
これまで、新規事業の種を探すという発想は全くありませんでしたが、会社が新しいことを始めようとしているのは知っていたので、「私も役に立てることがないだろうか」と思っていました。事務員としてお客さまとの会話を通じて新規事業の種を見つけていくためには、視野をもう少し広げる必要があると思っていたので、AMP!のお話を頂いて「これはチャンスだ」と思いました。
小川さんはどういうきっかけで参加されたのでしょうか。
小川:現在は千葉の四街道センターでセンター長を務めていますが、今後もっと上のポジションに就きたいという思いがあります。周りのエリア長や部長、また新規事業を立ち上げている他部署の方々の活躍を拝見して、自分の武器や引き出しをもっと増やしていきたい、と思ったのがきっかけです。
いち社員でいるうちは、どちらかというと割り振られた仕事をいかに的確にこなせるかが重要だと思うんですが、上に行けば行くほど、自分で考えて指示を出していかなきゃいけない。そうなると頭の使い方が変わってくると思うんです。これまでとは違う視点を周りの社員に提供する必要があるので、新しいことをどんどん吸収していきたいと思い、参加を決めました。
小川さんは2019年に入社されて3年4カ月ということですが、前職もこういう同じ業界だったのでしょうか。
小川:全く異業種です。前職は映画館で働いていました。休みも不定期ですし、みんなが休んでいるときに必要とされる仕事なので、当時は家族と過ごす時間が全く取れませんでした。そこで自分なりに働き方改革をしようと転職活動をした結果、ASNOVAに入社しました。
一つの店舗を任されて仕事をするということは前職でも長い期間やっていたので、最初の数年間は一つのセンターや事業所を任せてもらえるようなポジションを目指してきました。同時に、先々を考えて武器を増やしていかないと、という思いは入社当初からあったので、センター長という最初の目標に到達した今、AMP!に参加できたのは幸運だったと思っています。
テーマは自分で探す。記事作成で0から1をデザインするプロセスを体験
第2期となるAMP!2022は、どんな内容でしたか。
大石:京都での1泊2日の合宿をメインに、そこで得た気づきを
ASNOVAの公式noteで記事として公開するという1カ月強のプログラムを行いました。新しいビジネスやサービスなど、0から1をデザインするプロセスを知ることと、自身の価値観を知り「こうなりたい」という目標を決めるということが目的です。
第1期と大きく変えた点、工夫した点は何でしょうか。
大石:前回はあらかじめ決められているテーマに対してアプローチするという立て付けでしたが、今回はテーマを自分で探すというプログラムだったので、そこが大きく違う点です。自分で見つけて生むというフローの苦しさを実感されたのではないかと思います。
また、今回のプログラムは大山貴子さん、稲田ズイキさん、はがみちこさんという、属性の異なる3名の編集者に伴走していただきました。「編集する」という能力は事業を生み出すにも、もちろん記事を作るのにも欠かせません。お三方に記事作成のアドバイスをいただきながら、それぞれのユニークな視点も学びました。
具体的に、小川さんはどのようなワークを体験されたのでしょうか。
小川:合宿はグループ行動が中心で、ほぼ初対面の人たちとグループを組み、まったくのアウェイである京都の街を歩き、知らない人に声をかけて話を聞くという2日間でした。初日の昼食からグループ行動が始まったのですが、僕がリーダーなのでお昼をどこで食べるのか決めなければなりません。それまで京都に来たこともなかったので、最初から壁にぶつかってしまいました。
大石:あくまでも参加者の方が主人公で、私たち運営はサポートという位置づけだったので、今おっしゃったような、ごはんを決めなきゃいけないという場面でも、主人公はASNOVAさん。事務局は必要以上に手を貸さないようにしました。
小川:ただ、一緒に回らせていただいた方々は、全く気を使う必要がないような気さくなメンバーで助かりました。ランチを決める際も「こういうお店があります」とアイデアをたくさん出していただきましたし、何をしたらいいのか分からないときも「何でもしよう!」というグループで、楽しい2日間を過ごせました。
難しかったことや大変だったことはありましたか。
小川:食事をした先で紹介していただいた所へ話を聞きに行ったり、京都らしいカフェに寄ったり、そういうことをしていたのですが、「ここに行ってこの話を聞いたらゴール」というものではないので、ゴールが見えないまま行動するのは大変でした。3件、4件と話を聞くうちに共通点が見えてきて初めて「ああ、こういうことだったんだな」と分かってきました。
これだ、と思った場所や相手はどのようなものだったのでしょうか。
小川:本当に一番最後ですね。僕は「起業する上で大事なことは何だろう」というテーマを持って行動していたのですが、2日目の一番最後に訪問した場所で、ヒト、モノ、場所、場の空気、会話に出てきたキーワード、そういった全てが繋がりました。
フィールドワークに出る前は、「何かをしたい」という意欲やテーマを突き詰めていった人たちが面白いことをやっているんじゃないかと思っていたのですが、あちこちで話を聞いてみるとそうではなくて、思いも寄らない人と出会う中で面白いことがどんどん生まれているんですね。人と人とがつながって面白いことが出てくる、何をやりたいかよりも誰とするかが大事だということを皆さん同じようにおっしゃっていました。
最後に伺ったのはセレクトショップだったのですが、そこの店主も「面白い人とリフォームして作った店で、面白いと感じた人から商品を仕入れている」とおっしゃっていて、まさに集大成という感じでしたね。「どうしてもこれをやりたい」というよりは「何となく今はこれが面白いと思ってやっている」という軽い感じだったのが、僕にはない価値観で衝撃的でした。
一方、山川さんはどんなグループで、どんな行動をされたのでしょう。
山川:私のグループはASNOVAのメンバーが2名で、名古屋の営業部の笠原さんと一緒でした。笠原さんとは部署もエリアも違うため、今まで全く接点がなかったのですが、良い意味でとても刺激を受けました。
また、同行してくれた編集者のはがさんはものすごく知識が豊富な方で、行く先々で案内をしてくださいました。例えば、京都のお茶屋さんの軒先にある犬矢来は雨宿りをさせないために設置されているとか、町の中のちょっとしたことにも「これには意味があって」と説明をしてくださるので、はがさんと一緒に京都の町を歩くだけですごく面白かったですね。
そして、「まいまい京都」という町歩きツアーを運営している以倉敬之さんという方にインタビューをしました。私は以前、旅行会社で歴史のツアーや写真のツアーなど、テーマを決めたツアーの運営を担当していまして、今回のインタビューは、当時の自分の反省点を以倉さんに教わったような感じでしたね。
どんな学びがあったのでしょうか。
山川:以倉さんのツアーはとても人気があり、ほとんどがキャンセル待ちなんです。でも私がかつて企画していたツアーはなかなか定員に満たなくて、何が足りないのかなとずっと思っていました。そこでお話を伺ったところ、以倉さんはツアーを企画するときに「まず人を探す」とおっしゃいました。なぜ人を探すのかというと、「ガイドする人がツアーの魅力だから」ということでした。
例えば、以倉さんのツアーでは地元の主婦が商店街のおいしいお店を案内したり、パンマニアの人が京都で人気のパン屋さんを案内したりするのですが、どれもすごく人気でいつも満員になるそうです。旅行というとホテルや観光地、もしくはご当地料理を考えがちですし、私もそう考えていたのですが、「本当に面白いのは人なんだよ」と聞いて、目から鱗が落ちました。
フィールドワークでも、はがさんからレクチャーを受けながら町歩きをしていると、はがさんの解説一つで町の見方が変わるし、視野も広がるし、知識も入ってきました。町歩きの楽しみ方は人だということを実感しました。
AMP!で学んだことが日々の行動を変え、なりたい姿に結びつく
参加する前に比べて、ご自身が変わったと感じるところはありますか。
小川:視点は変わったかもしれないです。今までボーッと過ごしていた通勤時間も、周りに目が向くようになりました。看板ひとつとってみても、これまではただ「こんな店があるんだな」という認識でしたが、「何でこの位置にあるんだろう」「何でこの大きさなんだろう」「何でこの色なんだろう」といろいろ考えるようになりました。
また、本を読むことが増えました。今のところ毎週図書館に行っています。子どもに読ませるためでもあるのですが、「何か面白いのないかな」と自分でも足を運ぶようになりました。
AMP!で、全く接点のないメンバーと行動してかなり刺激を受けたので、図書館でもこれまで関心のなかった本に手を伸ばしてみています。自分にはないものにもっと触れようと思って、日々行動をしている感じですね。
山川さんはいかがでしょう。AMP!に参加して変わったことはありますか。
山川:私は、人に話しかけるようになりました。町内会の会合で、今年会計になってしまって。これまではなるべく地味にやり過ごそうと思っていたのですが、この間、倉庫の整理をする日に思いきって「私も町内会の役員なので手伝います」と話しかけて、備品の整理・清掃に参加してみたんです。そのとき、倉庫に足場部材があるのを見つけて驚きました。流しそうめんの台や夏祭りのやぐら、フランクフルトや焼きそばの出店にも足場が使われているんですね。一歩踏み込めば、視野が広がって新しい気づきがあるのだと改めて実感しました。
以倉さんも「損得勘定ではなく、自分が面白いと思ったものをやっていけば、それが後からつながって事業になっていく」とおっしゃっていました。どうすれば利益につながるかという考えを一度捨てて、まず面白そうだと思ったことに目をつけてみようと思いました。
AMP!を終えた今、小川さんの目標は何でしょうか。
小川:先々の目標から言うと、新しい部署を立ち上げたいです。自分がそこに所属するか、種を撒くだけかは分かりませんが、新しいことを感じたら、受け取るだけではなくそれを発信できるようになっていきたいと思います。
そのためには、今回のAMP!で学んだように、物事の視点を変えたり、何にでも興味を持ったりすることが重要だと感じています。新しい行動を起こすには、さまざまな体験をして経験値を増やしていかないと始まりません。たくさんの人と話をして、一緒に考えていくことを心がけていきたいです。
山川さんはいかがでしょうか。
山川:普段の業務でも、お客さまと積極的に話していこうと思います。今までは何を借りるか、いつバラシが始まっていつ返却されるかという程度でしたが、もう少し視野を広げて、今後どういう部材が必要なのか、時代の流れに合った部材が提供できているのかといった会話もしてみたいですね。そこで得た情報を営業部の方々に共有する、パイプのような役割を担えたらと思っています。
社内の人と話していると社内の目線からしか物事がわかりませんが、お客さまと話せば、彼らの抱えている個々の問題も見えてくると思います。話すことが大事だというのは、まさにAMP!で学んだことですね。