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Text:光田 さやか Photo:小林 翔

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岩沢兄弟
千葉県生まれ。兄・岩沢 仁(いわさわ ひとし)、弟・岩沢 卓(いわさわ たかし)の兄弟によるクリエイティブユニット。「モノ・コト・ヒトのおもしろたのしい関係」を合言葉に、全国各地で空間デザインやプロダクトデザインなどをおこなっている。
梶谷 利一郎
2022年4月ASNOVA入社。
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足場を“遊び場”に。クリエイター・岩沢兄弟×ASNOVAでイベント用の立体什器 を制作

2023年6月2日(金)に大阪のナレッジプラザで行われた、ナレッジキャピタルの10周年特別イベント「ナレッジキャピタル最新レポート」。

その催し物の1つとして、ASNOVAの足場を使った参加型コンテンツ「いらないもの物流センター」が開催されました。

「いらないもの物流センター」の空間コンセプトを手がけたのは 、クリエイティブユニット・岩沢兄弟のお二人。
なぜ足場を使おうと思ったのでしょうか?そして、このコンテンツに込めた思いとは?
このイベントを担当したASNOVAの梶谷さんを交えて、お話を伺いました。

Text:光田 さやか Photo:小林 翔

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岩沢兄弟
千葉県生まれ。兄・岩沢 仁(いわさわ ひとし)、弟・岩沢 卓(いわさわ たかし)の兄弟によるクリエイティブユニット。「モノ・コト・ヒトのおもしろたのしい関係」を合言葉に、全国各地で空間デザインやプロダクトデザインなどをおこなっている。
梶谷 利一郎
2022年4月ASNOVA入社。

普段表に出ない「足場」を楽しく活かす

Q.このイベントを実施するまでの経緯をお聞かせいただけますか?

岩沢 仁(以下、ひとし):2015年に、今回と同じナレッジキャピタルでデイリーポータルZさん企画の 「巨大いらないものガチャガチャ」を実施し、岩沢兄弟で巨大なガチャガチャを制作しました。ナレッジキャピタルさんからのオーダーで、今回はもっと大規模にしてみようということになり、足場を使ったモノというアウトプットに行きつきました。
岩沢兄弟の立体物デザイン担当:岩沢 仁さん
岩沢 卓(以下、たかし):もともとASNOVAがイベントで足場を提供していることは知っていました。積極的にいろいろなことをやっていて、おもしろそうな会社だなと気にしていたんです。今回このイベントにコンテンツを提供するにあたり、「やりたいことを一緒にやってくれそうな相手」と考えたときにASNOVAのことが思い浮かんだので、ご連絡しました。
岩沢兄弟のWeb、映像、音響、よろずディレクション担当:岩沢 卓さん
ひとし:足場って、普段あまり表に出ない存在だと思うんです。それをあえて表に出すことがおもしろいと感じたんですよね。日頃気にしていないものが主役になる違和感があるものを作りたいと思い、担当の梶谷さんを筆頭に打ち合わせを進めました。

Q.岩沢兄弟からお問い合わせをいただいたときは、どう思いましたか?

梶谷:最初は「足場を使って作品を作るなんてできるのだろうか?」と、理解するのに精一杯でした。しかし内容を聞いていくと、クリエイターらしい発想に驚くばかりで、ぜひ協力したいと思うようになりました。
数ある足場企業の中から「やりたいことを一緒にやってくれそうな相手」としてASNOVAを選んでいただいたのは、とてもうれしいことです。
株式会社ASNOVA 梶谷さん

循環型社会を体験できる「いらないもの物流センター」

Q. 「いらないもの物流センター」について教えてください。

たかし:「巨大いらないものガチャガチャ」の時から「リサイクル」「アップサイクル」というテーマが入っていたので、その発展系というところからアイデアを考え始めました。
 
特に、 ものが巡っていく様子をどう楽しんでもらおうか、ということにはこだわりました。今は便利な世の中で、ネットでほしいものを注文すると翌日には自宅まで荷物が届くようになっています。だけど、その“背景”って意外とみんな気にしていないんじゃないかなと思ったんです。誰かのものが、誰かの手にわたり、誰かのもとへ届く様子を、目に見えるかたちで、 参加しながら楽しんでもらうことを目指しました。
 
梶谷:一緒に企画を進めていくなかで、お二人から次々とアイデアが出ることにただただ驚きでした。意見を重ねるごとにブラッシュアップされていくので、私自身も楽しみながら取り組めました。
こうして、まずは自分たちが楽しみながらやることが、見る人にとっての楽しみにもつながるのだなと思いました。
ひとし:ASNOVAには、設計から模型づくり、組み立て、解体と、足場に関わるほとんどを引き受けていただきました。自分たちでやろうにも、こちらも足場の特性というか、使い勝手をしっかり把握しきれていなかったので、プロにお任せしたほうがいいだろうと思ったんです。
足場は、あえて中古品を貸していただくことにしました。ASNOVAさんは「ぜひ新品を!」と、ご提案してくださったんですが、傷があったり、ペンキがついていたりするからこそいいんじゃないかと思ったため、使用感のある足場を用いました。

Q.「いらないもの物流センター」はどのように体験するのでしょうか?

たかし:参加者は、まず受付に「いらないもの」を持ってきていただきます。そこでペットボトルキャップと交換し、ガチャガチャを回します。カプセルの中から出た番号と同じ番号が付けられたラックの段ボールを受け取ると、そこには誰かが事前に持ってきた「いらないもの」が入っている。という流れです。段ボールごと外に持ち出していただくことで、この取り組みを会場の中だけでなく外にも広めていくことができると考えました。
ひとし:会場では、交換したモノだけではなく、物流センターそのものを写真に撮ってくれている人もいて、とてもうれしかったです。私たちが目指していた、「生活の背景にある部分」を感じてもらえたように思います。
あと見た目としてもかっこいいものができたと思っています。使い込まれた足場の風合いが、おしゃれなヴィンテージ家具みたいで。
たかし:この「いらないもの物流センター」が実際に利用されている様子を、ASNOVAさんたちに見てもらえたことがうれしかったですね。
私たちはASNOVAの足場のユーザーという目線ではなく、あくまで「一緒におもしろいことをやろう」という立場でいるので、お互いの価値観を合わせるという意味では、今回のイベントはすごく有意義なものになったと思います。
ASNOVAにとって足場は日常にあるもの。それを、客観的に見て感じていただくことで、ASNOVAのみなさんにも「足場ってこんな使い方があるんだ」「こんなふうに喜ばれているんだ」ということを、現場で一緒に感じられたことがよかったです。

「足場の可能性」がもたらす未来

Q.イベントを通じて、「足場の可能性」をどのように感じましたか?

ひとし:今回は足場を「棚」として使いましたが、足場はトラスやスチールラックと違って長さも奥行きも自由に組み立てられるし、強度もあって上に人が乗ることだってできるので、とても使い勝手がいいなと感じました。今後はそういった特性を活かして、立体迷路をやってみるのもいいかも。その日のうちに組み替えることで、次の日になったら全く新しい順路になっているとかだったら、すごくいいですよね。そういう意味では、足場になにかプラスすることで、一般の人にも受け入れられやすい、全く新しい使い方ができると思います。
実際、足場があったら登ってみたいですよね!それだけでも十分楽しいと思います。
 
たかし:私たちは日頃の活動で、いろいろな素材を組み合わせて制作しているのですが、足場はとても使い勝手のいい素材だなと実感しました。デジタル技術のモノと相性がいいんじゃないかな。
足場には、「寸法の決められた、ある程度の窮屈さ」がありますよね。そういった既成の寸法と、自由なモノの組み合わせは、プロトタイピングとの相性が抜群です。デジタルとアナログを組み合わせてものづくりをしている僕らと相性が良かったので、引き続き、いろいろな業界・業態と一緒に足場を使ったチャレンジをしていけたらと思っています。
ひとし:普段から、あるモノ同士の組み合わせの面白さを提案することが多いんです。「足場とこの素材の組み合わせ、面白いよね!」ということが伝えられるように、まずは足場のことをもっと勉強しなくてはいけないですね。素材そのものを深く知り、引き出しを増やしていくことで、表現できることも増えるはずです。もしかしたらまた、軽い感じでASNOVAさんにはご連絡してしまうかもしれないですね。
梶谷:それは大歓迎ですね!私たちも、今回のイベントを通じて、お二人から足場の可能性を教えてもらいました。大きな自信の一つとして、今後もさまざまなことに興味を持って取り組んでいきたいと思います。

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