BUSINESS

Text : 北川 由依

  • facebook
  • twitter

PROIFILE

笠川 真代
経営企画室。2021年、ASNOVA入社。新規事業やマーケティング戦略などを中心に業務を行う。
小柴 真帆
神奈川藤沢センター。2014年、ASNOVA入社。受発注や請求書の対応等、フロント業務を行う。
フエ
株式会社トラント、システム開発者。
BUSINESS

足場業界の受発注システムをDX化。ASNOVAが推進する業務改善

足場業界の受発注は、未だに電話やFAXが主流です。そのようなアナログ作業はユーザーと足場レンタル業者どちらにも煩雑な業務を増やしています。そこでASNOVAは、ユーザーの利便性の向上と、業務の効率化を図るため、WEBでの受発注システムの開発に着手しました。 ASNOVAが目指したのはユーザーが「いつでも、どこでも、確実に」発注できる環境。2023年3月のローンチに向けて、現場の声も取り入れながらシステムの検証と修正を重ねています。 今回は、受発注システムのDX化に取り組む経営企画室の笠川真代さんと機材センタースタッフの小紫真帆さん、そしてシステム開発を依頼した株式会社トラントのフエさんに、開発の目的や裏話からシステム導入で変化する足場業界の未来までお伺いしました。

Text : 北川 由依

  • facebook
  • twitter

PROIFILE

笠川 真代
経営企画室。2021年、ASNOVA入社。新規事業やマーケティング戦略などを中心に業務を行う。
小柴 真帆
神奈川藤沢センター。2014年、ASNOVA入社。受発注や請求書の対応等、フロント業務を行う。
フエ
株式会社トラント、システム開発者。

足場業界のDX化を牽引する、WEB受発注システム

今回開発されたWEB受発注システムとはどのようなものでしょう。

経営企画室の笠川真代さん
笠川:WEB受発注システムとは、「いつでも、どこでも、確実に」足場機材を発注できる仕組みです。これまで電話とFAXが主流でしたが、お客さまの発注に対する利便性と顧客満足の向上を目的に開発しました。

WEB受発注システムは、スマートフォンかPCのいずれかから発注が可能です。個別のアドレスとパスワードを入力し、利用するセンターを選択。レンタルしたい足場機材を商品一覧から選択し、引き取り日や使用現場名などを入力したら発注完了です。スマホ一つあればどこにいても気軽に発注ができ、必要な機材を準備することができるようになります。
 
ASNOVAでは、足場レンタル業界のコモディティ化が進む中、業界を牽引していくためDX化の推進が他社との差別化につながると考えています。そこで2020年ごろからプロジェクトチームを立ち上げ、経営企画室のスタッフと南関東のエリア長、小紫さんをはじめとした南関東センターのフロントスタッフ、ヤードスタッフ、システム開発会社のフエさんも加わって、開発を進めてきました。

WEB受発注システムによって生まれる変化はどのようなものでしょうか。

小紫:各センターにはフロントスタッフが配置されており、受発注や請求書の対応などをしています。受け取った注文をヤードスタッフに伝えて、お客さまのご希望の足場機材を揃えています。しかし、在庫不足等の理由により対応出来なかったニーズに関してはデータ化が難しく、エリア長・センター長の経験則に頼る部分が大きいため、正確な数量として把握し難いことが課題としてありました。
 
センターごとで、失注した部材はもちろん把握していますが、ASNOVA全体として何をどれだけ失注したかを正確に数字として把握するのは難しかったように思います。このWEB受発注システムにより、明確に数字として表れることで、失注を極力なくし、お客さまの期待に応えられる体制作りを望んでいます。
機材センタースタッフの小紫真帆さん

受注・発注の双方から考えた使いやすい設計

開発プロセスの中で、こだわった点はどこでしょうか。

笠川:一番のこだわりは、お客様がマニュアルなしで操作できることです。初めてでも感覚的に操作ができるよう、誰にでもわかりやすいようなUIを心がけました。

※UIとは、ユーザーインターフェイスの略で、ユーザー(利用者)と製品やサービスとのインターフェース(接点)すべてのことを意味する。

フエ:今回、ASNOVAさんからのご依頼が、お客様がマニュアルなしでも使いやすいデザインということだったので、導線やボタンの色・配置など、ユーザビリティを意識して画面のデザインを何度も修正しました。

開発の裏側ではどのような苦労がありましたか?

フエ:マニュアルなしで操作できるよう開発するところはやはり苦労しました。これまでシステム検証を2回実施しましたが、一つの修正を反映するためにシステム全体を見直す必要がありました。予算も限られていましたので、常に優先順位をASNOVAさんに相談しながら進めました。
 
笠川:「商品選択をよりわかりやすくしたい」「注文変更をする画面が分かりづらい」など、大小様々な修正が多くありました。フエさんは、予算と工数を踏まえながら、代替案を提案いただけたので、とてもありがたかったです。
 
小紫:私たちフロントも、2度のシステム検証に加わり、ASNOVAとしての操作性やお客様にとっての利便性などを現場目線でフィードバックを行いました。注文時に現場が決まっていないこともあるので、「現場名の入力がなくても注文できるようにしてほしい」「追加や変更などをしやすく」「大型の注文に対し、複数回に分けて引き取る場合も分かりやすいように」など、日頃起こるさまざまなケースから使用シーンを想像して依頼しました。
 
笠川:WEB受発注システムの開発プロジェクトには、開発会社のトラント様をはじめ、私たちプロジェクトチームだけでなく、営業部や機材管理部など、様々な立場の人が関わっています。そういった意味では、コミュニケーションが一番大変だった点かもしれません。目線を揃えながら進めていく必要がありましたので、オンラインツールを駆使してこまめにコミュニケーションを取るようにしました。気になることがあれば、すぐ「今から少し話せますか?」とチャットを送り、すり合わせして解決するようにしましたね。
 
フエ:それから、ASNOVAさんと認識の相違が無いように、Q&Aをしっかり残しながらプロジェクトを進めるようにしていました。
株式会社トラントのフエさん

テストマーケティングを経て、全国へ展開

2023年3月のリリースに向けて、現在はどのような動きをしているのでしょうか。

笠川:現在は、システムの脆弱性診断をサイバーセキュリティ会社に依頼しています。お客様に安心して使っていただくためには、とても大切なことです。2022年12月頃に南関東地区でテスト運用を実施する予定です。まずはプロジェクトにも加わっていただいた南関東のセンターから、フロントスタッフやヤードスタッフ、センター長に実際の業務で使ってもらい、業務フローにおける課題の抽出やその改善を行います。それと同時に、南関東センターを利用いただいているお客さまにも数社お声がけし、お客様から直接フィードバックをいただくことで、より良いものにしていきたいと思っています。

なるほど。リリースが楽しみですね。今後、WEB受発注システムが広がることで、ASNOVAのサービスや足場業界はどのように変わるとお考えか、最後に教えてください。

小紫:電話受注では、細心の注意を払っていても、聞き間違いによるミスのリスクがあります。また部材の名称やサイズの表現の仕方は、お客様によって違いがあり、丁寧な聞き取りが欠かせません。しかし、このWEB受発注システムを導入することで、これらの不安要素がなくなり、業務の軽減につながることを期待しています。そしてお客様にとっては、都合のよい時間に発注できることで、格段に利便性が向上します。この新しい取り組みが、ASNOVAのイメージアップにもつながると考えています。
 
笠川:WEB受発注システムは、お客様にとって「いつでも、どこでも、確実に」発注できる環境をご提供できるようになると思います。お客様の中には、一人でいくつかの業務をこなしている方も多く、そういった日頃の煩雑な業務を軽減できれば、時間的コストや管理コストも軽減され、その時間を別の業務にあてていただけます。ASNOVAにとっても、社内オペレーションを減らすことができるので、受注ミスの軽減や営業活動に時間を割けるようになり、結果的にリピートのお客様や新規のお客様の獲得にもつながるのではと考えています。さらにデータを活用することによって、リアルタイムでお客様のニーズに応えられるような、足場業界においても新たな仕組み作りを目指したいと思っています。
WEB受発注システムの導入が業界を牽引していく - 「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす
 
取材にご協力いただいた 株式会社トラントさん 受託でのアプリ開発や、常駐型のシステム開発、ベトナムでのオフショア開発を提供
「業界に影響を与える存在になる」というビジョンを実現すべく、
新しい可能性を常に探り、よりよいサービスを生み出し続けている
WEBSITE:https://www.trente.jp/

INDEX