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Text・Photo:尾形 芽依

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新規事業を通して「明日の場」に体現したいこと

“「カセツ」の力で、社会に明日の場を創りだす“というパーパスを掲げて3か月が経ち、この存在意義を軸としたB2C向け新規事業にエンジンがかかりました。「軽仮設機材のある新しい日常」へパラダイムシフトを起こすプロセスのありのままを届けていきたい。

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PROIFILE

ASNOVAのこだわり

メイン事業である足場レンタルは、同じ足場機材を繰り返し使うことで、循環型ビジネスモデルとなっています。環境に優しい社会に寄与することには使命感を持って活動しており、所有する機材は、スタッフが丁寧にケアをし、次のお客様にも気持ちよく使って頂けるように管理が徹底されています。

足場は、別名で仮設機材と呼ばれます。文字から想像できるように、機材は目的を果たす為に一時的に使用され、撤去されます。建設現場が分かりやすい例です。

ASNOVAがレンタルしているくさび式足場が施工に使われている様子

軽仮設機材がもっと身近なモノへ

 では、屋内に目を向けてみると、“軽”仮設機材と呼ばれるものがあります。これは、人が持ち運びできるサイズの物で、脚立や踏台などがその代表です。屋外で使われている仮設機材は、レンタルされている一方で、軽仮設機材は「消費」されているという現状があるので、「明日の場という未来」の創造には、こういった事業を取り巻く環境から変えていきたいという決意があります。

さて、ホームセンターの軽仮設機材売場は、何十年以上も大きな変化がないのですが、例えば、脚立や踏台がホームセンターの重鎮ではなく、家具の一つのように身近な存在になりえる可能性もあるのではないでしょうか。IKEAや家具販売のオンラインショップで目にする北欧デザインの脚立や踏台は、おしゃれでカッコいいので片づけずにインテリアとして使うことから、軽仮設機材のポテンシャルを感じています。
 
デザイン性が高く、使っていない間も見えるところに置いておきたい、和室空間にも似合う、ちょっと高級感があったり、異素材の組み合わせで出来ていたり、腰を掛けたくなったり、上りたくなる脚立のようなモノが日常に溶け込んでいると、生活のニューノーマルが生まれるかもしれません。少し億劫だった神棚の水替え、雑になりがちだったクローゼットの上の段、本当は飾りつけしたかった本棚、来客があった際の腰掛や物置等、家具としてとらえる軽仮設機材の役割は思ったより大きいかもしれません。

環境問題を訴える伝説のスピーチ

 このプロジェクトは、大量生産・大量消費される商品ではなく、エシカル商品であることに拘っており、本当に価値のある商品をエンドユーザーに直接届けることを目指しています。
 
そのモチベーションとなった1本のビデオがあります。それは、環境問題について、14歳の女の子が、高学歴の政治家に向けてスピーチをしたもので、伝説のスピーチとして話題になりました。彼女は、言いました “I am only child, and I don’t have all the solutions. But I want you to realize neither do you.” 「子供の私には解決方法はわかりませんが、皆さんも同じだと気付いてください。」その後も、耳にしたくない様な言葉が続きます。30年前に、話題となった演説でしたが、環境問題はこの長い間で何も変わっていないどころか、悪化しています。
 
ASNOVAが今回注目した言葉は、“No hidden agenda”という言葉です。日本語にすると「裏に潜む動機がない」となります。着目している理由は、シンプルで、このプロジェクトを建前ではなく、本音を大切に活動しているからです。本音とは、個や集団が抱いている嘘偽りのない感情や価値のことです。つまり、利益を上げるための商品ではなく、環境に優しく、現代の人が求めているものを創り出す。それに共感して頂いて初めて、利益が生まれ、会社としての存在価値が立証されると考えています。
 

言葉でいうよりも、何十倍も難しいこのプロジェクト。どうやって体現化するのか?

 デザインシンキングと呼ばれる思考法を用いて、エスエムオー株式会社(以下、SMO)と一緒にプロジェクトを進めています。デザインシンキングとは、ユーザーの潜在ニーズを理解し、「仮説」を繰り返し実証することで、イノベーティブな解決策を見出す考え方です。
「本物を未来に伝えていく。」をパーパスに掲げているSMOは、組織やブランドの本質的な価値を高め、コンセプトから実行までを一貫してブレないようにサポートしてくれる存在で、当社のパーパス策定にも力を貸してくれた頼もしいパートナーです。(関連記事 これからの社会でASNOVAがやるべきことは?パーパスが導く足場業界の「明日」
SMOより引用: 存在意義を明確にするプロセス
 SMOの本社は、東京虎ノ門ヒルズビジネスタワー内のシェアオフィスCIC Tokyoにあります。CIC Tokyoは、世界に繋がるイノベーションの発進基地と呼ばれ、世界中の課題に対する“解”の導出に取り組む起業家で溢れている場所です。実際に、CIC Tokyoを訪れると、外国語が多く聞こえてきて、企業や人、施設のデザインから、イノベーションを起こそうとしている空気感が漂っていました。
オフィスのエリアの他に、オープンワークスペースや利用者が自由に使えるキッチンがある
 次回、ASNOVAが大切にしているキーワードやフィールドワークでの発見、ブラッシュアップされた構想などをお伝えしていく予定です。

「仮説」と「仮設」を繰り返し、一歩ずつカタチに近づく。
ふたつのカセツを生かし、自由に、軽やかに挑むことを、 私たちASNOVAは「カセツ」と呼ぶ。

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